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さいきん、よく笑うようになったねって、言われました。
ちゃこそんなに、笑ってませんでしたか?

あーちゃんが、かまってくれて

師匠がそれに、はいってきてくれて

鷹栖さんが、おうちでそばにいてくれて




ちゃこはもう、いっしょうぶんのシアワセ
いままでにもらった気します。

一番たくさんくれたのは、慶おにぃちゃんだけど。

ちゃこは、ゼイタクモノです。
だからもう、じゅうぶんですよ?

これ以上は、ちゃこのてのひらから、あふれてしまうから



あしたの朝日がのぼったら

ちゃこがこの世界から消えて

みんなの記憶からも消えていたら


きっとイチバン、それがイチバン。

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「おめーが早朝から出て行くなんて、おかしいと思ったんだべさ。」

センソウのあと、家に帰ったら玄関に鷹栖さんが
仁王立ちして待ってました。
服、キレイにして、いつも通りを装ったのにアッサリばれました。
この手のウソは、自衛隊員には通用しなかったでス。

「あの、でも、こりすちゃん先輩は行ってないですよ?」
「里栖の事、言ってるんでない。」
「ちゃこは、戦うの、きらいじゃないですから…。」
「…。」
「みんなの代わりになるなら、ケガしてもいいんです。」

 ガンッ!!

鷹栖さんが思い切り壁を殴ったので、びっくりしました。
その手がちゃこのほうに伸びてきたから、オシオキされると思って
目をつぶったけど……ゼンゼン、ちがいました。



師匠も、あーちゃんも、鷹栖さんも
優しい人がこんなにいると、いつか死ぬのが、怖くなりそうで
ちゃこはそれが、何より怖いんです。

幸せになりたかった、ひだまりに戻りたかった。
だけど、どうすればいいのか分からないし、それ以前に
そんなコトは許されないんです。
ここに生きて、笑うコトさえ、罪だと感じてる…。

カラダ、キモチ、ココロ、バラバラ。




「痛い所ないか?」
「むねが、いたい、えす。」

鷹栖さんの腕の中は、まるでシェルター。
香水とタバコの匂いがする、シェルター。

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センソウ、えす。
師匠とタッグ組むことになりました。
いいって言ったのに…こりすちゃん先輩が自衛隊のお仕事
どうしても抜けられなくて欠席だからって。

お願いして、貴種ヴァンパイアとしてじゃなく
ヘリオンで戦ってもらう事にしました。
だってそれなら、後衛にいてくれるから…。

盾になるのは、ちゃこの役目。
師匠は誰にもコロサセナイ。


あたたかい血液の海に飲まれて
自分が何処にいるのか、何をしているのか
わからなくなる。

それでもいい。
それでいい。

戦いが終わって、ちゃこが帰る場所は、誰の腕の中?

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鷹栖さんはお仕事お疲れで、早く寝てしまって
師匠は今夜はバンドの練習で、仲間と一緒で
こりすちゃん先輩は、寮の消灯時間過ぎてて
黒ちゃんは、彼女と一緒で。

こんな風に色んな偶然や必然が重なると
まるで自分が、世界でひとりぽっちに思えてくる。

名前を呼んで欲しかった。
でないと自分が、ココニイルのか分からなくなるから。

別に死ぬ事が怖くなったんじゃない。
怖いのは、自分が必要とされないこと。
この世でも、あの世でも、其れは同じこと。



携帯のアドレス帖を開く、映し出されたのは僅か数人分の名前。
ほとんど無意識に、通話ボタンを押していた。


 プルルル


冷たい電子音が耳に入ってきてやっと其れに気付いた。
あわてて携帯を閉じた。


都合のいい時に、都合のいいお願いをするために
相手の都合お構いなしで呼び出す。

だから携帯なんてキライ。
だから自分なんてキライ。


「…サイテー、でス。」



空を見上げる。
そこには星ひとつない、漆黒の闇。

今宵は星すらも、返事をしてはくれない。


ベランダから身を乗り出して手を伸ばしても、届かない事くらい知っている。
どんなに願っても手に入らないものがあるんだって事くらい、知ってる。

それなのに、手を伸ばさずにいられないのは、どうしてなんだろう――。


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「こーら、千夜。」
「……あい?」
「ベランダ出るなら髪乾かしてからにしなや、風邪ひくべや。」
「ドライヤ、あついから、ちゃこスキくないです。」
「お、なんだ反抗期か?」
「あい、ちゃこもオトシゴロですから、ハンコーヒーです。」
「ほれ千夜、ちゃんと乾かしたら抱っこしてやってもいいぞ。」
「承知つかまつりまいた!!かわかしてきます!!」
「……どーこが反抗期なんだべさ。」


ちゃこ、鷹栖さんに遊ばれてる気がします。

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こりすちゃん先輩の結社に、あたらしいナカマえす。

さくらわわ、さくわわ……やっぱりいえません。
さ、く、ら、ざ、わ、あ、つ、し、さんでス。

あーちゃんでいいよ言ってくれたので、あーちゃんえす。
焼肉おごってくれる言ってくれました、イイヒト確定えす!

ハンバーガーキッドみたいなヒト。
あーちゃんも、おひさま系。

慶おにぃちゃんは、ぽかぽか春のおひさま。
あーちゃんは、ゲンキな夏のおひさま。
師匠は、カゲを残した秋のおひさま。
燵也さんは、穏やかな冬のおひさま。

みんなちがう、みんなあったかい。
おひさまが4つ、そろいました。

でも2つ、ちゃこの場所からは見えません…。

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気が付いたら、もう秋がそこまできてました。

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「千夜ーー、ビールもう一本ー。」
「むー、さすがに飲みすぎ…。もうやめましょ?」
「いや、なんもだ。」
「うそつきさん、ベロベロじゃないえすか。」
「なーんーもーだーー。」
「鷹栖さん困ったサン、こりすちゃん先輩に怒られまス。」
「なんで里栖がでてくるんだべさ。」
「こりすちゃん先輩は鷹栖さんの家族、家族はゼッタイえす。」
「じゃあ……おめーも家族になればいいべや。」
「…師匠のおじさんとおばさんにも…さそってもらいましたけど
 ちゃこ、やっぱり養子は…。」
「誰がそったらこと言ったんだべさ。」
「う?」
「…千夜と一緒に暮らすんは、なまらあずましいし。」
「あずま…?」
「そりゃおめーからしたら、俺はオヤジだわ。」
「まぁたしかに、23歳ばかりトシウエですね。」
「俺は…なしておめーと、どんぱでないんかなぁ。」
「どん…どんぱち?」
「いい振りこいてもしゃーないけど、したって…あー俺みっだぐない!」
「あの、鷹栖さん、わざと北海道弁で喋ってまス?」
「……だったら、なんなんだべさ!もう寝る!!」


鷹栖さんはそのまま、ホントに寝てしまいました。
言ってる事は分かりませんでしたけど、今日の鷹栖さんは
オヤジっていうより、子供みたいでした。駄々っ子さん。


こんな風に まだ こんな ちゃこと
イッショにいてくれるのは イッショにいられるのは もう……。

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御紹介
名前:
異空 千夜呼
生誕:
1991/11/11
御言葉
[09/19 BlackMan]
[09/02 香住]
[08/27 健斗]
[08/03 あー]
[08/01 香住]

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