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チャコはお姫様じゃないから、お姫様になんてなれないから
王子様や誰かに守ってほしいなんて思ったことないんです。
ただ、誰かにソバに居て欲しかったんでス…。


  独りでいい、独りがいい、独りでいなきゃ。
  強くそう思い続けることで、思い込むことで
  ワタシは生きてきたのに……。
  矛盾だらけの心は、どんどん荒んで色を亡くしていった…。




闇に抗うように、じゃれていたら
宇気比さんまで海にはまってしまいました。
二人でびしょぬれ、大惨事になってしまったのに
宇気比ちゃんは笑って許してくれました。
だからチャコも、笑うことが出来ました。

いつも笑ってなくていい。
泣いていい、怒っていい。
だけどサイゴには、また笑顔になって欲しい。
その笑顔は、必ず周りのダレかを笑顔にするから……。

そう伝えると、ふいに宇気比さんが真顔になって
チャコさんも、と言ってくれました。


でもチャコは、笑ってないとダメなんです。
チャコの笑顔がいいねって、言ってくれるんです、色んな人が。
じゃあ笑わない、笑えなくなったチャコは?
そこに存在価値は………ない?

だから辛くても笑います、辛いときほど笑います、笑っていたい。
そう言ってチャコが笑うと…。

「だけど、本当に辛ぇて思ったら笑うのは止めときな?
 無理して笑うんは余計体に悪ぃし
 その内笑おう思っても歪んで笑顔にならんくなってくっから。」

宇気比ちゃんがそう、ぽつり呟きました。
その瞳はチャコを見ているようで、他のダレかを見ているようでした。
それがダレなのか、なんなのか、チャコには解りません。
ただその時の宇気比さんの酷く淋しそうな瞳に、胸が痛みました。





楽しいときほど、時間が経つのは速いもの。
日が傾きだしたので、帰ることになりました。

「小さいであんま効果ねーかもしれんけど、使い。」
そう言ってかしてくれたタオル地の小さなハンカチからは
なんだかどこか、あたたかいにおいがしました。

ありがとう、ありがとう、ありがとう。
何度言っても足りないって解ってても、言いたかった。
でも言おうとすると、思わず泣いてしまいそうだったから…。

「宇気比ちゃん、早くしないと置いてっちゃいまスよ!」

代わりに出たのが、そのコトバだった。

「はいよ、りょうか…。」

言いかけて一瞬止まる宇気比ちゃんの足。
でも次の瞬間、かえって来たのは眩しいくらいの笑顔。

「どうかしましたですか?」
「久々に、『宇気比ちゃん』って聞いたわ…。」

気付かなかったんです、自分でも。
いつからヒトの事を、ちゃん付けじゃなくさん付けで呼んでいたのか…。




二人でまた、いろんなことを話しながら歩きました。
思い出の共有、それはとてもステキなこと。
忘れないように、ココロの中の宝箱に、そっと仕舞っておきたい。
宇気比ちゃんがくれたコトバのひとつひとつ……。

「宇気比ちゃん?」

ふと、宇気比ちゃんが立ち止まりました。
その眼はまっすぐチャコの方を向いていました。
キレイなオレンジ、師匠とは違うオレンジ。

 なんだか全てを見透かされてしまいそうな気がした。
 なんだか逃げ出したくなった。

「笑顔とったら何もなくなるっちゅー訳はねーでよ。
 ちゃこさん、存在価値っちゅーんは何も一つだけじゃにゃあで。」

悲しそうな顔をして、宇気比ちゃんはチャコの頭を撫でてくれました。
嬉しかったんです、とっても。
この世界にまだ、チャコにこんな優しさをくれるヒトがいた事が。
あたたかな手が、声が、存在が……。

 でももう十分。
 それ以上ワタシに触れると、きっと汚してしまうから。
 それ以上優しくされたら、きっと泣いてしまうから。
 むこうへいくのが、こわくなって、しまうから………。





また教室で会いましょう、そう約束をして別れました。
お別れは淋しいけど、今なら笑える。
これはチャコの、本当の笑顔でス。
この顔を、どうか覚えていてくださいね。



 ずっと、自分の生まれた意味が解らないでいた。
 ずっと、自分が生きている意味が解らないでいた。

 生きてるってことは、死んでないってこと?

 答えが見つけられないまま、こうして生きてきた。
 いつか見つかるのかな、本当の意味が、理由が…。



遠くなっていく宇気比ちゃんの背中を、しばらく見つめていました。
あの背中、護りたいなって………思いました。

師匠、こりすちゃん先輩、宇気比ちゃん。
大事なヒトを護れる強さが欲しい。
強く、ならなきゃ。

こころも、からだも…………強く。

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コトバじゃ伝えきれない感謝を…。
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御紹介
名前:
異空 千夜呼
生誕:
1991/11/11
御言葉
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[08/03 あー]
[08/01 香住]

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