まほうのことば

「　　　　、　　　　　　　　。」

それは唯一、ワタシをこの世界に留めておく魔法の言葉。
もしかしたらその言葉が欲しくて、ずっと此処に留まっていたのかな。

もっと可愛くて、優しくて、純真で、誰からも愛される女の子に
バトンタッチしたら、その方がみんな喜んでくれるんじゃないのかな。

ワタシが、ワタシでなければならない理由は、なんだろう。
ワタシの存在する意味、ワタシでなければ成せない事、埋まらない場所。
今のワタシには、なにひとつ分からない。


そうして勝手に離れて行って、一人になって、尚更孤独になって
自分で自分の帰る場所を無くしていってるのは分かってるけど
それでも、ワタシは…。


師匠はワタシを必要だっていってくれるけど
こりすちゃん先輩って言うイチバンがいるから、ワタシがいなくても
いいじゃない、なんてつい言ってしまった。ごめんね。



ワタシを愛してくれた慶おにぃちゃんの手は、凍えるように冷たい。
そんなのずっと、いつものことだったのに
今日はそれが、すごくすごく、哀しくて、淋しいの……。