Dreaming V.D.

街も人々も、ハートやピンク色で彩られるバレンタイン。

そんな笑顔咲く場所にいても、馴染めなかった。

だって思い出すのは、過去の事ばかり…。

１年前の２月１３日。

ペットでも妹でも、形は何でも良かった。
あのヒトと一緒に、傍にいられる事だけを願って作った
ほろ苦いチョコレート。

だけどそれは、あのヒトの元へは届かなかった。

また、慶おにぃちゃんみたいに、いつか失ってしまうんじゃ
ないかって、あの時もとても怖かった。
だけどこのチョコレートを渡して、きちんと伝えようって
そう決めて、作ったんだ。

…結局、渡せぬまま、あのヒトは遠くへ行ってしまった。
ある意味、慶おにぃちゃんよりも遠く、手が届かないところへ―。



明日になれば笑って帰ってきてくれるんじゃないかって。
頭を撫でるあの暖かい手と笑顔に会えるんじゃないかって。
期待し続けて、丁度１年が経ってしまった。


でももう、期待するのは今日でやめるの。
いつかまた会える日を待つことは、やめたりしないけれど。




ちゃこは強くなるの、だから、ヒトリでダイジョウブ。






「おやすみなさい、燵也さん…。」
明日もどこかで、アナタが幸せでありますように。