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12月近くになって以来、テレビからは盛んにクリスマスソングや
クリスマスに関する話題が流れるようになった。
千夜呼は鷹栖と二人、食卓を囲んでそんなテレビをぼんやり見つめていた。
「もうそんな時期か。」
「早いでスね、こりすちゃん先輩と師匠のオツキアイ1年キネンビえす。」
「…ドツキアイ記念日になればいいんだべさ。」
ムッとした顔で、冗談か本気か分からない事を言う鷹栖を見て
千夜呼は思わず吹き出した。
「千夜は? 去年のクリスマス、どうしてたんだべさ。」
「…きょ、ねん?」
11月11日を境に、千夜呼の記憶には、もやがかかっていた。
楽しかった事も、辛かった事も、まるで夢の中の出来事であったかのように、
そして遠い遠い思い出のように感じられていた。
今の千夜呼に思い出せるのは、よほど強烈なイメージだけかもしれない。
空ろな目をして過去の記憶を探っていた千夜呼が、ふと視線を上げた。
「…たつや、さん。」
「ん?」
「燵也さんが、誘ってくれました。一緒にって……。」
千夜呼の心の中で、黒い髪の男性が、優しく微笑んでいた。
この学園に来て、虎太郎以外で初めて自分を受け入れてくれた人だ。
ふいに『チャコ』と呼ぶ声が聞こえた気がして、千夜呼の瞳に涙が浮かんだ。
鷹栖は黙って、その涙をぬぐってやった――。
「それから。」
暫くして、千夜呼が再び口を開いた。
「椎本せんぱいとも、会いました。」
「…他にもいるのか。」
「お魚のカンヅメ、もらったんでス。」
千夜呼は、「たからものいれ」と書かれた自分専用のダンボールから
一つのカンヅメを持って帰ってきた。
「他のは食べちゃったでスが、いっこキネンに残しておいたえす。」
「そうかそうか。 で、そのタツヤとシイモトってのは、どんな奴だ。」
声色の変わった鷹栖に、千夜呼が指差したものは…。
「マフラーに、飴?」
「あい、この黒いマフラーが燵也さん、ピンクのキャンディーが椎本せんぱい!」
「…わからん!なんなんだべさ、その例え!もうちょっとあるでしょや、こう!」
「だって、こうなんえすモン、他にナイナイえすよぅ。」
クリスマス、聖なる夜。
カミサマなんて信じてないけど、トクベツな日だから――。
クリスマスに関する話題が流れるようになった。
千夜呼は鷹栖と二人、食卓を囲んでそんなテレビをぼんやり見つめていた。
「もうそんな時期か。」
「早いでスね、こりすちゃん先輩と師匠のオツキアイ1年キネンビえす。」
「…ドツキアイ記念日になればいいんだべさ。」
ムッとした顔で、冗談か本気か分からない事を言う鷹栖を見て
千夜呼は思わず吹き出した。
「千夜は? 去年のクリスマス、どうしてたんだべさ。」
「…きょ、ねん?」
11月11日を境に、千夜呼の記憶には、もやがかかっていた。
楽しかった事も、辛かった事も、まるで夢の中の出来事であったかのように、
そして遠い遠い思い出のように感じられていた。
今の千夜呼に思い出せるのは、よほど強烈なイメージだけかもしれない。
空ろな目をして過去の記憶を探っていた千夜呼が、ふと視線を上げた。
「…たつや、さん。」
「ん?」
「燵也さんが、誘ってくれました。一緒にって……。」
千夜呼の心の中で、黒い髪の男性が、優しく微笑んでいた。
この学園に来て、虎太郎以外で初めて自分を受け入れてくれた人だ。
ふいに『チャコ』と呼ぶ声が聞こえた気がして、千夜呼の瞳に涙が浮かんだ。
鷹栖は黙って、その涙をぬぐってやった――。
「それから。」
暫くして、千夜呼が再び口を開いた。
「椎本せんぱいとも、会いました。」
「…他にもいるのか。」
「お魚のカンヅメ、もらったんでス。」
千夜呼は、「たからものいれ」と書かれた自分専用のダンボールから
一つのカンヅメを持って帰ってきた。
「他のは食べちゃったでスが、いっこキネンに残しておいたえす。」
「そうかそうか。 で、そのタツヤとシイモトってのは、どんな奴だ。」
声色の変わった鷹栖に、千夜呼が指差したものは…。
「マフラーに、飴?」
「あい、この黒いマフラーが燵也さん、ピンクのキャンディーが椎本せんぱい!」
「…わからん!なんなんだべさ、その例え!もうちょっとあるでしょや、こう!」
「だって、こうなんえすモン、他にナイナイえすよぅ。」
クリスマス、聖なる夜。
カミサマなんて信じてないけど、トクベツな日だから――。
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御紹介
名前:
異空 千夜呼
生誕:
1991/11/11
過去録