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それは数ヶ月前の話。


土曜の夜遅く、携帯が鳴りました。
慶お兄ちゃんの弟の黒ちゃんから。
受話器から聞こえる声は、やっぱり慶お兄ちゃんに似ていました。

「明日、暇?バイト?」
「ヒマですけど、どうかしましたか?」
「迎えに行くから。」
「はい、わかりまし、た…??」

日曜、夕方に黒ちゃんはやってきました。
手には大きめの茶封筒を持って。

「久しぶり、元気そうだね。」
「黒ちゃんは…なんか元気なさそうです。
「いや、元気だって。」

普段ポーカーフェイスな黒ちゃんがパッと見で解っちゃうほどなのは
本当に珍しいことでした。
座ってもらってお茶を出して、最近起こった話とかをしていると
ふいに黒ちゃんが黙って、それから茶封筒をチャコに渡してくれました。
開けてみなさいと言われて封筒の中身を見ると…。

「これは……ドレス、ですか?」
「兄貴が昔、オーダーメイドでウエディングドレス作ってる知り合いに
 託してたデザイン画。誰がデザインしたか、分かるよな?」
「はい…慶お兄ちゃんです、だってコルセット、鈴蘭柄です。」

それは、チャコが一番好きな花。
慶お兄ちゃんがチャコには鈴蘭がぴったりだって言ってくれたから。

「託されたままになって仕立て料も受け取ってるけど作りますかって
 先週、俺宛に連絡があったんだよ。
 迷ったんだ、随分。千夜呼に本当に渡すべきなのかどうか…。」

黒ちゃんは目を伏せた。
デザイン画のスミには懐かしい筆跡。

- 僕の小さなお嫁さんに 心から愛を込めて -

「サイゴの、最高の、贈り物です。」
「……辛くはない?」
「嬉しいです。」
「どうしたい?」
「作ってもらえますか…このドレス。」
「ああ、勿論。」
「ただ、ひとつだけ。」
「うん?」
「黒い生地で作ってください、ぜんぶ。」
「それでいいんだな?」
「はい。」



そうして出来上がったこのドレスは
ウエディングドレスでモーニングドレス。
チャコは泣きません、泣いたりしません。
だって悲しいことなんか何もないのです。

世界で一着だけの、素敵な素敵なチャコだけのドレスが
天国から届いたのですから……。

そうでスよね、慶お兄ちゃん…?

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この作品は、株式会社トミーウォーカーの運営する
『シルバーレイン』の世界観を元に
株式会社トミーウォーカーによって作成されたものです。
イラストの使用権は作品を発注した異空千夜呼に
著作権はナギ絵師に、全ての権利は
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御紹介
名前:
異空 千夜呼
生誕:
1991/11/11
御言葉
[09/19 BlackMan]
[09/02 香住]
[08/27 健斗]
[08/03 あー]
[08/01 香住]

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