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「お邪魔ーします。」
「はい、どうぞ!何にもないでスけど。」
「あぁー……謙遜じゃなく本気でなんもねぇな。」
「あは、まぁお茶くらい出ますから、座ってくださいでス。」
「おう、…………………。」
「左が慶お兄ちゃんですよ。」
「へっ?!な、なんだべさ急に!」
「鷹栖さんシャシン凝視でしたでスー。」
「そ、そうか…すまん。」
「ふふ、優しそうでカッコイイと思いませんですか?」
「ああ、そうだにゃー。頭もよさそうだ。」
「そうなんです!もう完璧人間だったのでス!」
「慶お兄ちゃん以上の奴は、見つからんか?」
「…どういう意味ですか?」
「もう恋、せんのかって意味。」
「……しません、もうしたくないです…。
 保障の無いものに期待する事も、すがる事も。」
「保障って、なんのだ?」
「自分が、愛される、保障。」


「鷹栖さんなら解る筈、永遠なんてないこと。」
「ああ。」
「もうひと時の夢なんて…ワタシもう要らない。」
「おめーはそれで、幸せかい?」
「幸せじゃないかもしれないけど、不幸でもない。
 失うものは、少ない方がいい。だから要らない。」
「ただ怖いんでしょや、大事なものが出来るのが。」
「…。」
「大事なものが出来たら、死ぬとき残していく事になる。
 残された者がどんな地獄を見るのか知ってるから
 大事なものにそんな思いさせるのが、怖いんでしょや。」
「死ぬのは………怖くない……のに………そう、それだけが、こわい。」
「それがおめーの、生きる意味だ。大事なものの為に生きてみなや。」
「でも会いたい、慶お兄ちゃん……家族………。」
「俺だって嫁さんに会いたい、したっけ里栖にあんな思いさせる訳にいかんべや。」
「…そう、ですね。こりすちゃん先輩にそんなの、ダメです。」
「俺の考え押し付ける気ないから、ただ頭の隅っこで覚えててくれればいい。」
「………はい。」
「…おぉっ?!おめー茶淹れんのなまら上手くねぇ?里栖に教えてやってくれや
今度!」
「いいですよ、鷹栖さんが喜んでくれるなら。」
「んじゃ、タバコ吸っていい?」
「灰皿ないですから、空き缶にどぞでス。」
「あーー千夜はどっかのお姫さんと違って心が広くていいにゃーー!」
「いい…………お嫁さんに、なれ……ますでしょか……。」
「…当たり前しょや、俺の太鼓判押してやる。」



日の暮れてゆく広い空に、鷹栖さんのタバコの煙が昇っていく。
お互いそれ以上何も話さず、ただそんな空を眺めていた。
静かで、ひどく穏やかな午後5時23分。

今頃チャコの大事な人たちは、どこで何をしているのでしょうか。
笑って、いるでしょうか……。


END

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御紹介
名前:
異空 千夜呼
生誕:
1991/11/11
御言葉
[09/19 BlackMan]
[09/02 香住]
[08/27 健斗]
[08/03 あー]
[08/01 香住]

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