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初めての依頼から、帰ってきました。
無事、でした。

流石に結構疲れてしまって、足取りは重く
家のドアの前でカギをごそごそ探していたら…。
「千夜呼か?開いてんぞ。」
中から師匠の声が聞こえました。
その変わらない心地いい声に、心底ほっとしました。

ドアを開けると、中でギター片手に譜面に向かっていた師匠。
「おう、お帰り。」
「…ただいまです。」
「ケガねぇか?」
「はい。」
「辛ぇか?」
「いいえ。」
「じゃあなんでンなツラしてやがんだ、ほらこっちこい。」

ソバまで行くと、師匠はチャコを抱きしめて撫でてくれました。
いつもの香水と、師匠自身のニオイ。

 目を閉じて、あたたかさに酔いしれる。
 ぬくもりはダイスキでダイキライ。
 いつか消えてしまう、ひと時の宝石。

「お前あったけぇなぁ。」
「え?」

 そんな事は、初めて言われた。
 ワタシが、あたたかい?
 違う、あたたかいのは貴方でしょう?


 今日だけ、今だけは、チャコのふりをしていよう。
 もう少しだけ、この幸福に浸っていたいから…。

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チャコの家のキッチンです。
師匠が『料理した痕跡がねぇ、こんなの女の家の台所じゃねぇ!』
って言ってました。

当たり前でス、ガス止まってるんですから!!

焼いて食べるときとかは、裏庭で焚き火です。
水はきてますけど、なるべく雨水とか公園のお水お持ち帰りとかします。
電気もきてますけど、なるべくロウソクです。

こんな生活ですよ。



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学校へ向かう途中にある教会で、結婚式やってました。

真っ白いウエディングドレスを着た可愛い花嫁さん。
白いタキシードを着た優しそうな旦那さん。
二人も、ソレを祝福する人も、みんなとってもいい笑顔でした。
幸せいっぱい、見てるこっちまで笑顔になります。

知らない人だけどなんだか嬉しくて
何も持ってなかったけど、ただお祝いが言いたくて。

「ご結婚、おめでとうございまス!」

気がついたらソバに行って、そう言ってました。

二人はびっくりしてたけど、すぐに笑顔になって
ありがとう、って言って、ブーケから一本お花をくれました。


黄色くて可愛いお花でした。




チャコにはきっと似合わない、純白のドレス。
チャコに似合うのは、きっと……。

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最近、師匠がいいニオイします。
チャコ鼻がきくのです、くんかくんか。
何のニオイですかって聞いたら、なんとかっていう香水でした。

「どして急に、そゆの付け始めましたですか?」
「んー・・・・お年頃だから!」
「………色気づきやがって………………でスー。」
「ひぁーーー!なんてこと言うのかしらこの子ったら!!(小突き)」
「痛!いたいですー!!…チャコは?いいニオイしますか?」
「…………さっき食ってた肉の匂いがする。」


やりました!それは一番いいニオイです!!
師匠のもサッパリしててスキですけど、チャコ的には
鷹栖さんのニオイのほうが好きです。
凄くおとなっぽいニオイするですー。

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バイトの帰り、またバッタリ鷹栖さんに会いました。
家の方向が一緒というわけじゃないですけど
送るといって聞かないので送ってもらうことにしました。
こりすちゃん先輩の頑固さは、間違いなく鷹栖さん譲りです。

まるでホントの父親みたいな暖かさを持つ鷹栖さんが、チャコはダイスキです。
一人で歩くと長いこの帰り道も、今日は苦になりません。
むしろもっと長くなればいい、そんな風に思いました。


静かな細い道に入ったとき、街灯がジジッと音を立てて消えました。
その瞬間です、確かな殺気と低い唸り声が聞こえたのは……。


暗闇にボウッと点る気味の悪い光。
目、あの目、知ってる。
慶お兄ちゃんを襲った、あいつの目と一緒。
地縛霊…雅鎖螺。


血の気が引いて、身の毛がよだつ。
フラッシュバックする、紅い世界。
ぐにゃりと視界が歪んだ。
「千夜……コレが、里栖たちが戦ってる敵なんかい?」
「そう、です。」
「まさかおめーも…………能力者…。」
「……。」

頭がぐらぐらする。
慶お兄ちゃん、慶お兄ちゃん、慶お兄ちゃん!!
思い出が走馬灯のように駆け巡って、前が見えない。



「千夜!!!」

その声でハッと我に返る。
ワタシは鷹栖さんに抱きしめられていた。
鍵爪を振りかざし襲ってくる雅鎖螺の動きが、まるでスローモーションみたいに見えた。

鷹栖さんが、慶お兄ちゃんと重なる。


 ねぇ、この後どうなった?
 ねぇ、あの時、この後どうなった?


「あああああああああああああああああぁ!!!」


力任せに鷹栖さんを押しのけ、前に踏み込む。
詠唱兵器であるバット『獄楽逝』を手に……。

ワタシは渾身の力を振り絞って、獄楽逝を振りかぶる。
恨み、憎しみ、復讐心、殺意、全ての負の感情を込めた。

骨が砕ける鈍くて大きな音と、確かな手ごたえ。
紅く染まったリビングデッドが、ずるりと足元に崩れ落ちた。




守れた…ワタシは護れたんだ……今度こそ。
まもれた、まもれた!
まもれたまもれたまもれたまもれたしなせなかった!

「あは……あはは………アハハハハハハハハハ!!!!」

もう何の音も聞こえなかった。
もう何も耳に、脳に届かなかった。
ワタシは血に塗れた獄楽逝を抱きしめ、転がるリビングデッドを踏みつけて
止まらない笑いをただ吐き出し続けた。

自分の声だけが世界に響く。
この世界はもう、闇に飲まれてしまったのだろうか。
護れたのに、ワタシ護ったのに…。

嗚呼、月明かりすら見えない。
この世界は、真っ暗闇だ……。




ふわり



あたたかくて、力強い何かに包まれる。

これは、何?

それが鷹栖サンだと理解するのに、ずいぶん時間がかかった。

「触ら、ないで。」
「なんで。」
「汚れるからよ……鷹栖サンが。」
「構わん、気にするな。」
「…ワタシが構うの、気にするのよ。」
「千夜。」

いつもと変わらぬ声で、名前でワタシを呼ぶ。
「よしよし、怖かったしょや。」
何言ってるの、ワタシを見ていたでしょう?
「もう泣いてもいいから。」
何言ってるの、ワタシは笑っていたでしょう?
「男なのに守ってやれなくてスマン…ありがとな。」

何言ってるの、ワタシは、アナタは……。
何を………なにを………なにを…………………。
やめて、ワタシの頭の中をグチャグチャにしないで。

振りほどこうとしても、鷹栖サンの力には到底敵わなかった。
もがいているうち涙が止まらなくなって、バカみたいに泣いた。







「なぁ千夜、今日曇ってるしょや。それでも織姫と彦星は会えると思うかい?」
「…………会えます、きっと。」
「ああ、俺もそう思う。そういう運命なんだべさ、きっと。」
「うんめい?」
「雨が降ろうが星が隠れようがどんな邪魔が入ろうが、一緒になる運命。
 自分たちが変えようとしない限り、変わらないんだわそういうのはきっと、ずっと。」

「チャコには…どんな運命あるでしょか。」
「俺と一緒になる運命だったら、おめーどうする?」
「ふふ、頑張っていい奥さんになりまス。」
「そりゃーー楽しみだ。」


鷹栖さんにおんぶしてもらって、お家まで帰りました。
雲間から見えた小さな星は、一生懸命輝いていました。

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チャコが、そこにいました。
赤い水たまりの上に、横たわっていました。
動かない、まるでお人形みたいに………。

近づいて、触れてみると、その身体はとっても冷たくて。
でもその顔は、とっても幸せそうに微笑んでいて…。

嗚呼よかった………そう、思ったんです。



そこで、そのチャコを見下ろしている、誰かの視線に気付いて
顔をあげると、真っ赤に染まったバットを握る手。
無表情のまま、涙をとめどなく流していたそれもまた、チャコ…でした。


どれがホントのチャコなのでスか。
笑っているチャコ、泣いているチャコ、ソレを見ているだけのチャコ。
どれが………ホントの…………。

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●まずはじめに。
 あなた自身について質問します。

01:あなたのお名前を教えてください。

 異空千夜呼です。

02:年齢と性別を教えてください。

 女子、年は15になります。

03:血液型を教えてください。

 多分O型です。

04:趣味は何ですか?

 食べること、昼寝、あとバイト。

05:特技は何ですか?

 肉体労働で鍛えたこの腕力でス!

06:称号はありますか?

 『獄楽で嗤ふ獣姫(ごくらくでわらうじゅうき)』 

●学園生活について質問します。

07:銀誓館学園に入学した理由を教えてください。

 じっちゃんの遺言です。

08:所属しているキャンパスはどこですか?

 鳥珠キャンパスです。

09:頻繁に出入りするキャンパスはどこですか?

 師匠がいるので辺見ヶ原キャンパスに行きます。

10:あなたは制服派? それとも私服派?

 制服です、これ中学のときのなんでス。
 えへへ、新しいの買うお金がなかったですよー。

11:もしかして、転校生/留学生だったりします?

 はい、岩手からきました。

12:得意/不得意な科目はありますか?

 得意なのは日本史の戦国時代、書道、体育。
 不得意なのはその他全部です。

13:真面目に授業を聞いていますか?

 聞いてません(キッパリ) 寝てること多いです。

14:部活動はされていますか?(結社以外で)

 やったことないです、バイト忙しくって。

15:銀誓館学園での生活は楽しいですか?

 そうですね、なんでも楽しいですよ。

●人間関係について質問します。

16:あなたの家族について教えてください。

 じっちゃん、お父さん、お母さん、お兄ちゃん。
 でももうみんな死んじゃいました。

17:感情を抱いている人は何人いますか?

 数えてないです。

18:あなたが一番影響を受けた人は誰ですか?

 慶お兄ちゃんです。

19:尊敬する、または目標とする人はいますか?

 慶お兄ちゃんと鷹栖さん!

20:誰かに言われた言葉の中で、特に印象の深かったものは?

 「よく生きてきたな、エライぞ」です。

21:安心して背中を預けられる人はいますか?

 能力者なら、こりすちゃん先輩と師匠は絶対です。

22:どうしても放っておけない人はいますか?

 師匠ですね…。

23:好きな人はいますか?

 ………鷹栖さんと信長様(頬赤らめた)

24:あなたの考える「自分と相性の良いタイプ」は?

 お兄ちゃんタイプ、すっごく優しいか兄貴系か。

25:あなたと縁の深い人から一人選び、紹介してください。

 師匠、弱みを見せたがらない明るくてまっすぐで強いヒトです。
 泣いて凹むくらいならあえてバカやっていたい、っていう精神がスキです。

●衣食住について質問します。

26:普段はどのような服装で過ごしていますか?

 お隣の住人、関西さんがくれる制服を着ています。
 お気に入りはピンクのナース服です!

27:ずばり、ファッションの趣味やこだわりは?

 安くて着回しがきいて丈夫なものがいいでス。

28:一度着てみたい服はありますか?

 そですね…ウエディングドレスでしょか。

29:食べ物の好き嫌いはありますか?

 そんなの許されません!!

30:食事の時に心がけていることは?

 感謝して残さず美味しくキレイにいただきます!

31:出身地を教えてください。

 岩手、いい思い出とよくない思い出でいっぱいです。

32:現在はどこに住んでいますか?

 ベルメゾン鎌倉に戻ってきました。 

33:同居人がいたりします?

 ………今は、いません。
 あ、でも半分、師匠が住み着いてるでス。

34:アルバイトはしていますか?

 銭湯に解体屋に肉屋に内職に……いっぱいです。

35:頻繁に訪れる場所はどこですか?

 ヨンロク号でしょか。

36:お勧めのスポットがあれば、教えてください。

 師匠のおうち(寺)の境内、和風で落ち着いててステキですよ。

●ここだけの質問です。

37:お酒を飲んだことはありますか?

 ええと、じっちゃんの晩酌によく付き合ってました、内緒ですよ。

38:煙草を吸ったことはありますか?

 ないですよ。

39:無免許運転の経験はありますか?

 耕運機とかなら。

40:悩んでいることはありますか?
 
 色々あるですねぇ、悩めるお年頃です。

41:他人には言えない秘密はありますか?

 実はチャコ、アレなんですが……い、言えません!!

●ゴーストと能力者について質問します。

42:ゴーストのことをどう思いますか?

 別になんとも。

43:ゴーストを倒すことに、ためらいはありますか?

 無いわね、ワタシそんなに甘ちゃんじゃないの。

44:はじめて戦ったゴーストは、どのような奴でしたか?

 …戦ってないわ、守られてただけで…ね。

45:今までで一番苦戦したゴーストは、どのような奴でしたか?

 …(無言でにらんでいる)

46:使役ゴーストを連れていますか?
  また、彼らのことをどう思いますか?

 嫌なこと聞くわね……愚問よ、出直してらっしゃい。

47:あなたは自分の力をどう思いますか?

 まだまだ足りないの。

48:能力者ではない人々をどう思いますか?

 別に。能力があったって無くたって守れるときは守れるし、ダメなときはダメなのよ。


49:結社には所属していますか?

 まぁね、サボりぎみだけど。

50:互いに反発しあう、詠唱銀と世界結界―――。
  この両者の行く末に興味はありますか?

 …どうでもいいわ。

●まとめの質問です。

51:あなたの愛用の武器は何ですか?

 白い骨の鞭でしたけど、最近白いバット使い始めました。
 獄楽逝、って彫ってあります。 

52:あなたの一番大切なものを教えてください。

 ダイスキなヒトたちです。

53:今一番必要なものは何ですか?

 強さ、です。あとお金も!

54:座右の銘、または好きな言葉は?

 「所詮この世は焼肉定食」

55:あなたが信じているものは何ですか?

 誰かがチャコにくれたコトバたち。

56:神様はいると思いますか?

 いないと思います。

57:あなたの将来の夢を教えてください。

 お魚に生まれ変わることです!

●ありがとうございました。
 それでは最後に。

58:何か一言あればどうぞ。

 なんにもないでスーーー!!!

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もうすぐ七夕ですね。
村のお祭り、昔よく浴衣着て行きました。
金魚すくい、わたあめ、りんごあめ、風ぐるま…。
全部全部楽しくて、ダイスキでした。
じっちゃんは金魚すくいの名人でした。
慶お兄ちゃんは、チャコの浴衣姿をいつも可愛いって褒めてくれました。
花火見て、川原をお散歩するのも楽しかったです。

でも今年は、なにも予定ないです。
バイトでも入ってればヒマつぶせて良かったですけど。


大家のウメさんが、笹の葉どこからか持って来ました。
みんなで願い事かきなさいって短冊くれました。
はて、困りました、なに書けばいいでしょか。
なかなか思いつかなくて、いっぺん笹の葉見に行ったら
ベルメゾン鎌倉メンバーの短冊が、もうかかっていました。


『ロックスターになれますように!』
『霊とたくさん友達になれますように』
『制服ギャルの彼女がほしい』
『本が売れて印税がガッポリ入りますように』
『ピチピチに若返りたい』

名前なくても誰が誰のかすぐわかっちゃうですね。


悩んで悩んで、チャコは一つの願いを書きました。
きっと叶うことはない願い事を、ひとつだけ……。


七夕が過ぎて、次の日には、チャコは依頼に行きます。
慶お兄ちゃん………見ててくれますよね。

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御紹介
名前:
異空 千夜呼
生誕:
1991/11/11
御言葉
[09/19 BlackMan]
[09/02 香住]
[08/27 健斗]
[08/03 あー]
[08/01 香住]

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