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ワタシはずっと、赤い色がキライだった。
慶おにぃちゃんを思い出そうとすればするほど
目の前が赤く染まってしまうから…。
『お前には紅が良く似合う、チヤコ』
そんなワタシの唇に、おじさんは、
血という名の口紅を、震える其の指で、ひいた――。
慶おにぃちゃんを思い出そうとすればするほど
目の前が赤く染まってしまうから…。
『お前には紅が良く似合う、チヤコ』
そんなワタシの唇に、おじさんは、
血という名の口紅を、震える其の指で、ひいた――。
ワタシは割れたガラスの破片に映った、自分の姿を見た。
唇の紅だけが鮮やかに浮かび上がっていた。
それはまるで、炎のように、生き物のように…。
おじさんにあの日出会っていなければ、今でも赤が恐ろしかっただろう。
穢れずにいただろう。
赤に怯え、白い世界で、慶おにぃちゃんの想い出を抱いて
美しい涙を流せていただろう。
けれど後悔は、これっぽっちだって、ありゃし無い。
だから今日も、ワタシは紅の雨を降らせ、そして哂う。
『お前には紅が良く似合う、チヤコ』
「…死ぬのね、おじさんも。」
『哂え、己が運命を、此の世の全ての不条理を……。』
ね、おじさん、ワタシ上手く哂えている?
今でもキチンと、ワタシは紅が似合っている?
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御紹介
名前:
異空 千夜呼
生誕:
1991/11/11
過去録